コ ラム:エモーショナルなデザインが地球を救う!?

2022年6月5日(日)



ゴールデンレトリバーを飼っていて今年で9歳になります.あまり暑さには強くありませんので,毎年6月ぐらいになると長い毛をバリカンで刈ってラブラ ドールレトリバーのようにしてあげています.雨でもすぐに乾きますので梅雨時のお散歩も楽になります.

先日,毛を刈ってあげた後にあまり元気がなく食欲もない様子で,よく 見るとお腹 の部分がタプタプと膨らんでいることに気づきました.調べてみると水が溜まることがよくあるようで,次 の日の朝に動物病院に連れて行きました.すると水ではなく血が溜まっており,エコーで調べたところ 8cmぐらいの腫瘍のようなものが発見されました.早急に手術が必要とのことで,その日の夕方に手術を してもらいました.脾臓に損傷があり,そこからの出血 で,腫瘍のように見られたものは血腫でした.1時間ぐらいの手術で,脾臓と血腫の摘出をしてもらいました. (脾臓は人間でも成人になると無くてもいい臓器のようです).まだ,安静が必要ですが術後も元気でみる みる回 復しています.


そこで,ふと次のようなことを考えてしまいました.


保険も入っていませんでしたし,動物の手術は高いイメージがありましたので,念の為,手術費用について最初 に伺いました.その際に最低で14万円ぐらいで,状態や入院日数でもさらに必要になるとのことでした.もち ろん迷うことなく手術をお願いしました.


「もし,これが愛犬ではなく,例えば,パソコンなどの物であった 場 合はどうでしょうか?」


愛犬の購入時の金額は11万円でしたので,手術費用の方が高額になります.購入金額よりも修理費用の方が高 額になるのであれば,修理するでしょうか? おそらく,よっぽど特殊なものでない限り,古いものは破棄し, 新しいパソコンに買い換えると思います.もちろん,「生き物」と「モノ」を比較することはできないと思いま す.しかし,もし我々が使っている「モノ」が愛犬のように愛着があり,一緒にいるうちに世界で唯一の存在に なってくれるのであれば「修理しない」という選択は考えられず,それを廃棄して新品に交換するようなことは ないのではないでしょうか.

「モノ」のデザインにおいて,使いやすさ(ユーザビリ ティ)は非常に重要な要素です.簡単にストレスなく利用することができ,間違いやミスを減らすことで安全性 にもつながります.しかし,それだけでなく,使っていて楽しいとか,達成感や満足感が得られるとか,また, 所有することの喜びなどを感じさせてくれるといったことが重要であることを,今回のことでなんとなく感じさ せてくれました.

前回に紹介しました D.A. ノーマンさんの著書に「エモーショナルデザイン」というものがあります.そうした「モノ」に対するエモーショナルな部分があれば,簡単にものを捨てるよう なことがなくなるような気がします.修理する体制などの問題もありますが,そうしたデザインがSDGsにお ける「12つくる責任,つかう責任」等に貢献できるものと思いました.



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